生乾きと焼餅

どの口が何言うかが肝心

【本】やまゆり園事件

sakut.hatenadiary.com

 

2年前に書いたブログから引き続きこの事件に関心を持っている。

変わったことというか、進展したのは犯人である植松聖が死刑囚になったことぐらいだろうか。

「妄信」と比べるとより事件が起きた背景や植松聖という人間がどんなことを考えていたのかが克明になっているのと、植松聖が掲げる「優生思想」という彼だけではない人間として考えなければいけない根深い問題についてその歴史から遡っている点がとても興味深かった。

教科書に出てくるような偉人でも優生思想を彷彿とさせるような考えを文章に残しているということがとても象徴的で恐ろしかった。

植松聖は「会話ができない人間」のことを「心失者」という造語で呼び、凶行の際に殺すかどうかの基準にしていて、彼らを生かすことがどれだけ他の人たちを不幸にしているかという考えで命を奪っていた。

少なからず彼の考えに賛同する人がいたことが根本的な事件の解決に至っていないことの現れなんだけど、そんな人たちに読んで欲しい本になっている。

 

例えば自分が、あるいは家族や他の大切な誰かが不慮の事故で障害を抱えてしまったケースを考えたときに「もう人間じゃない」と切り捨てることができる人間は(きっと)少数派だと思うし、生まれながらに障害を持っている人でもきっと同じじゃないかと思っている。

(植松聖自身は裁判で両親が心失者になったら「殺す」と言っているけれど)

 

おすすめの本というより、是非読んで欲しいという1冊です。