生乾きと焼餅

どの口が何言うかが肝心

【映画】SNS 少女たちの10日間

www.hark3.com

 

予告編を観て関心のあるトピックだと思って観に行ったチェコ映画

観終わった感想はとにかく変な映画だったという一言。

手放しで面白いというわけにもいかないし誰にでも勧められる作品ではないけれど観るべき事実を火の玉ストレートでぶつけてくるような強烈な内容だった。

 

あらすじは公式サイトをサイトを見てもらうことにして、映画の構成が昔のロンドンハーツでやってたハニートラップ的なドッキリ企画に似ている。

まずは12歳の児童に扮した女性がSNSにアカウントを登録するとそれだけで見知らぬ男性からたくさんのメッセージが来る。

年齢層は12歳の少女といわゆる交際するような年齢にない30代、40代(それ以上も)の男性である。

その時点でスカイプビデオチャットの呼び出しに応じると相手によっては自分の局部を見せてきたり女性に服を脱ぐように要求してきたり、性的な画像・動画を相手に送りつけたりする。

この時点で立派な児童に対する性的虐待であることは言うまでもない。

次のステップとして対象の女性が胸を露出した写真(いわゆるアイコラと呼ばれる当人の顔と別人のヌード画像を組み合わせたもの)を相手側に送信した際のレスポンスを観察を行う。

結果として相手側の要求がエスカレートし、ビデオチャット中に胸を見せるように要求してきたり、ひどい場合は送った画像をインターネットにばら撒く、と脅迫してくる人もいる。

最終ステップとして実際に会う約束を取り付けて、対面して相手がどのような要求を行なってくるかまで撮影するパートがあるんだけど、特に強烈だったのがラストに実際の男性の家まで映画スタッフ総出で押しかけてその男性を糾弾するシーン。

対象の男性が偶然映画スタッフのひとりと知人であったというしんどい前提もありつつ、糾弾された男性が「そんな子供はそもそも育ちが悪い」と責任転嫁をしたり、それでいてその男性の職業が子どものツアーやキャンプを計画するような仕事をしていたりであるとか結構ヘビーだった。

最終的には警察が捜査を行なって映画側は映像素材を提供しました・・・といった終わり方。

 

ロンドンハーツの場合はお互いに成人した男女で特に何の問題もないけど、この映画の場合は相手が判断力の身に付いていない子どもであり、その弱味を握って脅迫したり性的な虐待を行おうとするガチの犯罪者ということで全然笑えなくなっている。

いや、本当はうっすらぼかしが入っているとはいえ年老いたおじさんが12歳の子どもの裸を見ようとしている表情や性的な言葉を投げかけてニヤついているさまなんかは個人的に気持ち悪過ぎて笑えないこともないんだけど、女性が見たらきっと笑えるレベルではないんだろうなと思う。

ぼかしが入っているとはいえスクリーンにめちゃめちゃ勃起した男性器が映るので男でもうぇってなるところがあるから女性だと結構気合入れて観る必要がある。

 

個人的に気になったのは、2つ目のステップとして合成写真とはいえ女優さんのヌード写真を相手に送信したところ。

この行為って相手側から要求されたとかされていないとか特段言及されてなかったような気がするんだけど、男性側を焚き付けてるような印象を持ってしまいどうにもモヤっとしてしまった。

(もちろん送られてきても削除するのが正しいというのが前提)

 

で、気持ち悪いおじさんって嫌ですねという話ではなく映画を観ていて思ったのはもしかしたら明日は我が身かもしれない、と思ってゾッとしているという話。

ネットの女性も現実なんだけど、現実の女性に相手にされずに未熟な女性であれば相手をしてくれるあるいは支配することができると考えてネットで性的欲求を満たすためだけの獲物探しをしているという思考回路は単にロリコンというわけではなく20歳の子どもがいる老人ですらそんなことをやっているというから恐ろし過ぎる。

子どもというのは往々にしてお金を持っていなくて好奇心旺盛だから悪い大人を見分けることもせずにいろんな要求を受け入れてしまう。

この映画も日本ではR15指定だし、メッセージをもっとも伝えるべき年代は観ることができないし、観せるべきでもない。

だから大人である自分たちが善悪の判断を間違えることなく子どもを守ってあげなきゃと身を引き締められる作品だった。