6つの短編で構成されているオムニバス形式。
率直にすごいなと思うところがいくつかあって、どの短編も作り方が全然違っているという点とその多彩な構成を支えられる確かな文章力があるという点。
もっと言えば芸能人の方が書く小説ってどこか自叙伝じゃないけど本人の影や人生が重なるような内容になりがち、というか芸能人じゃなくても自分の人生を色濃く投影されてしまうような気がするんですがあくまでパブリックイメージという限定的な意味合いではあれそういった色が感じられないのは単純に感心しました。
本を読むのが好きな人なんだろうなという感じがします。
で、
松井玲奈さんを知らない人にも勧めたくなる面白さかと言われるとちょっとそこまでではないかも・・・という印象が一方ではあるというのが正直な感想です。二律背反ではありますが。
個人的な考えでは、これぞ
松井玲奈の小説!みたいな決定打になる要素がまだないのかなという部分に起因してるような気がしています。
デビュー作なので当たり前かもしれませんが。
とはいえ「いとうちゃん」に関しては自分が読んできた短編小説の中でも
かなりお気に入りの話です。もっと話が読みたくなりました。