今年もあと2ヶ月なので、多分この本が2019年最も読んでおいて良かった本になると思います。
それぐらいいろんな人に勧めたい、読んでもらいたい本です。
面白かったか、と言われると面白かったんですけど、それ以上にこれだけ感情を揺さぶられた本は近年なかったので、そういう意味で読んでもらいたいという気持ちです。
簡単に感想を述べると、前半を読んでいて人間として生まれてきてすみませんという気持ちになって、後半で日本人として何も知らずにすみませんという・・・こうシンプルに死にたくなる気持ちになりました。
アフリカゾウの本ではあるんですが、その牙がなぜ密猟されるのかというとそこに需要があって、じゃあ買い手が誰かっていうと中国だったり日本だったりします。
そして密猟で得られたお金がどこに流れているかというと、アフリカで虐殺を行うようなテロ組織の活動資金になる。
しかもその活動資金の半分近くが密猟による利益で得られたもの。
これって、日本で
象牙を買う人がいるとその分テロ組織にお金が回るってことになるんですよね。
昔、少年ジャンプで「
ジャングルの王者ターちゃん」という、サバンナに住むターちゃんという野生児がいろんな悪の組織と戦う格闘漫画でありつつ、自らのルーツであるサバンナで起きるさまざまな環境問題についても触れている、下ネタもあるけれど勉強にもある名作漫画がありました。
アフリカで権力を持つ人は
汚職や賄賂にまみれているという話はこの本に限らずいろんなところで聞きますが、どうにもやりきれない。
象牙が使われているのは主に印鑑ですが、そういったものを許容せずに非難しなければいけない雰囲気を作らなければ、と感じます。
象牙が使われなくなるという意味でも印鑑という文化はなくなった方がいいのかもしれません。
本の最後にある著者の方がおっしゃっている「象を殺しているのは私たち日本人である」ということを少しでも心の何処かに忘れずにいたいです。