おじさんサッカーファンにはおなじみ、2002年の日韓W杯では日本代表の選手として赤いモヒカンヘアで世界の強豪と戦ってくれた
戸田和幸さんが現役を引退されたあと就かれた、解説者としての仕事について語った本。
個人的な感想になりますが、本を読む前から「誰のサッカー解説が好きか」という質問に対しては「戸田さん」という答えを持っていました。
最近はめっきりサッカーを観る機会も減ったという前提がありつつも、
NHKのサッカー解説などでは短い言葉でその試合の「面白いけど気づかないポイント」についてサクッと解説してくれるので試合の邪魔にならずにサッカー観戦を何倍も楽しくしてくれるなぁと感心していました。
あとは抽象的な言い回しが極めて少なくて、その場で起きたプレイについて「何故今のプレイが効果的だったのか」とか「どうしてチャンスが生まれたのか」を具体的に説明してくれるのも頭の回転早いなと思っていましたが、しっかりとした準備に基づくものだったんですね(当然頭の回転は早いんだけれど)。
この本を読んでて思ったのは、戸田さん以外のサッカー解説者が戸田さん並みの準備と哲学を持って仕事に取り組んでいるのかな、こんなに自分の仕事に対して真摯に向き合っている人がいるのかな、という単純な疑問でした。
もちろんみんながみんな戸田さんみたいに解説する試合の2チームについて最低直近2試合は分析(両チームで4試合)したうえで望まなくてもいいとは思うし、
松木さんみたいな広い層に向けたサッカー解説者も必要とは思いますが、戸田さんのような姿勢でサッカー解説者をやってくれるような人がもっと増えてくれたら嬉しいと思います。
そうすれば、日本の人たち、メディアも含めてサッカーに対する理解が進むスピードも加速するはずです。
ただ、ここまでストイックに取り組んでる人が本を出すと他の解説者の方が本を出しづらいような気がしないでもないという。笑
サッカーに関していえば、選手だけではなくて監督も、もちろん解説者も、もっともっといえば選手になれなかった人たちも審判やメディア、単純に
totoを買うとかでも、いろんな形でサッカーに携わって貢献することでサッカーという文化を育てることができると思っています。
戸田さんのようないろんな立場や環境を経験され、今は解説者という形でサッカーの現場の最前線に立っている方の提言は今までになかった含蓄が含まれていて、サッカー好きならマストでチェックしてほしいです。
いつか戸田監督も観たいですが、その前に一回名波さんとのW解説で欧州CLの決勝ラウンドとか放送してほしいです。